プロの実演家や職人が講師として学校を訪問し、子供達に届けるのは、さまざまな伝統芸能と東京ならではの伝統工芸です。室町時代からおよそ650年以上の歴史をもち、ユネスコの無形文化遺産に登録されている能楽(能・狂言)や歌舞伎の舞踊から派生した日本舞踊では、基本の型に挑戦。音楽では雅楽のほか、箏や三味線の体験や多種多様な和楽器の音色を楽しめます。また、今も多くのファンが訪れる「寄席」で演じられる落語や紙切り、日本のマジックである和妻を間近に体験できます。江戸で独自に発展した芸能や工芸では、地域の歴史にふれる機会になります。
※プログラム内容に合わせて「推奨学年」を記していますが、それ以外の学年でも実施をご相談いただくことは可能です。
※学年一斉は1~3クラス程度、4クラス以上の場合は、分けて実施します。
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①謡・仕舞(能楽)幽玄の美を肌で感じる!
能は、謡(歌・セリフ)と囃子(楽器)に合わせて演じられる歌舞劇で、人間だけでなく神や鬼、妖怪や幽霊など「この世のものでないもの」も登場します。
【体験内容】
「羽衣」などの有名な作品を題材に、能楽特有の謡や仕舞を体験、講師(プロの実演家)の実演を鑑賞します。
【基本実施形態】
学年一斉 / 1コマ
【実施場所】
多目的室、体育館
【推奨学年】
小5、小6、中学、高校
協力予定団体:公益社団法人能楽協会子供たちからの手紙・「能」や「まい」について、全然しらなかったので、日本にはこのような伝統芸能があるんだとおどろきとすごいなという気持ちがあり、ほこらしく思います。
・能は、表情はお面をかぶっていて見せられないから、体の動きだけで演技をしているのに、見ている時すごく引き込まれました。
・実際にやってみると腰や頭の高さをそのまま続けて動きをするのは、すごく難しかったです。
・力強くのびやかな声と、しなやかなまいで、これを身につけるのはとても大変で時間がかかるんだろうなと思いました。私もこんど本当のぶたいの能を見てみたいなと思いました。 -
②狂言(能楽)日本の伝統的な笑いを体感しよう!
狂言は昔の人々の日常にあるほのぼのとした笑いをテーマにした日本の伝統的な「コメディ」です。
【体験内容】
狂言の解説や、「柿山伏」などの代表的な演目の実演鑑賞と、動物の鳴き声や泣いたり笑ったり、狂言特有の表現を体験します。
【基本実施形態】
学年一斉 / 1コマ
【実施場所】
多目的室、体育館
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学、高校
協力予定団体:公益社団法人能楽協会子供たちからの手紙・私は、日本の歴史が大好きです。まさか、なまで見れるとは、きんちょう、こうふんしすぎてしまいました。
・狂言を見ていると、そうぞうしてかきを食べている先生が本当に食べているみたいに見えてきて、すごいなぁと思いました。
・げきを見て、わらった表げん、悲しい表げんなどが大きく表げんされていて、おもしろいなと思いました。 -
③日本舞踊邦楽の音色に合わせて、日本の踊りを体験!
江戸時代から400年余りの歴史をもつ日本舞踊は、日本の伝統的な舞踊として現代に受け継がれています。
【体験内容】
三味線や囃子の音楽に合わせて、日本舞踊の基本的な所作を体験。役柄を演じたり、自然の風景や心情などを踊りで表現します。講師(プロの実演家)の踊りを間近で鑑賞します。
【基本実施形態】
学年一斉 / 2コマ
【実施場所】
体育館
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学、高校
協力予定団体:公益社団法人日本舞踊協会子供たちからの手紙・みなさんの踊りをみて気持ちを表して踊っていることがすごくわかって、かっこよさとか、ゆるやかさとかがキレイだなと思いました。
・歴史のことを聞いて、日本舞踊にはすごくうけつがれているんだなと思いました。
・扇子などの道具を大切にしたりしていて、まねしたいなと思いました。
・今日、初めて見たら「うわーすごーい」ととてもみりょうされました。とてもすばらしかったです。 -
④歌舞伎音楽江戸時代からの音楽を体験してみよう!
日本のミュージカルともいえる歌舞伎は、お芝居と音楽が一体となって上演されます。歌舞伎の音楽で欠かせないのは三味線です。笛や小鼓などの打楽器と共に幅広い世界観を演出します。
【体験内容】
歌舞伎「勧進帳」の代表的なシーンの音楽を講師の実演で鑑賞し、日本の音楽に特有の唄や口三味線(唱歌)などを体験します。
※本プログラムでは、楽器の体験はありません。【基本実施形態】
クラスごと / 1コマずつ
【実施場所】
音楽室、多目的室
【推奨学年】
小5、小6、中学、高校
協力予定団体:一般社団法人長唄協会、特定非営利活動法人日本音楽集団子供たちからの手紙・すごく音がきれいで、最初はびっくりしました。勧進帳もすごくて、楽器の音がかさなっていて、表現がすごいなぁと思いました。歌舞伎を見てみたくなりました。
・歌ぶきの音楽(えんそう)を聞いていて、すごいと思いました。なぜなら、動物の鳴き声や、自然の中の音も表されていて、工夫されていると思ったからです。 -
⑤雅楽悠久の音楽、千年の響きに触れてみよう!
雅楽は平安時代より宮中の儀式に用いられ、1200年以上の歴史をもつ日本の古典音楽です。奈良時代にアジア大陸諸国から伝来した音楽や舞が取り入れられ、日本で独自に発展しました。
【体験内容】
講師(プロの実演家)による演奏の鑑賞、雅楽の代表曲「越天楽」を歌ったり、鞨鼓・太鼓・鉦鼓 などの打楽器、舞の体験などを行います。
【基本実施形態】
学年一斉 / 2コマ
【実施場所】
体育館
【推奨学年】
小5、小6、中学、高校
協力予定団体:一般社団法人伶楽舎子供たちからの手紙・単純な動作にも細かい作法があって驚いた。
・舞は現代ダンスの動きとは全然違ったので面白かったです。
・鉦鼓は同じリズムをループするところが曲を支えているなと感じた。
・講師の方の「大学生まで雅楽には興味がなかった」という発言に驚いた。いままで伝統的なものは子供のころから練習しなきゃいけない敷居の高いものだと思っていた。今回の授業で伝統文化への親しみが深まった。
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⑥箏雅やかな響きを感じてみよう!
箏は奈良時代に中国から伝来した楽器ですが、長い年月の間に日本人の感性によって繊細な表現を育みました。箏の雅やかな響きは日本的情緒をイメージさせるものとして人気が高く、古典から現代曲まで幅広く活用されています。
【体験内容】
「さくら」などの曲を全員が箏で弾いてみる体験と、講師(プロの演奏家)による三曲(箏・尺八・三味線)演奏を鑑賞します。
【基本実施形態】
クラスごと / 1コマずつ
【実施場所】
音楽室、多目的室
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学、高校
協力予定団体:公益社団法人日本三曲協会子供たちからの手紙・お琴の体験は、少しむずかしかったけど、ひけた時はとてもうれしかったです。またお琴の先生にほめられた時もうれしかったです。
・ぼくは、先生の演奏をきいてとても音楽が好きになりました。ぼくは、ことの先生みたいにみんなのまえで演奏できるようになりたいです。
・お琴で演奏していただいたさくらはとてもすてきな音で、目がはなせませんでした。尺八もすごくきれいな音が出ていて、どんな工夫をしているのだろうと思ってしまうほどでした。 -
⑦三味線三味線が粋な伝統芸能の世界へ誘います!
歌舞伎や文楽から民謡に至るまで、様々な音楽シーンで活躍する三味線。太棹・中棹・細棹という異なる太さの楽器があり、それぞれ個性的な音色や風情のある表現が楽しめます。
【体験内容】
講師(プロの演奏家)による本格的な演奏を鑑賞し、基本となる弾き方を教わって合奏にチャレンジします。
【基本実施形態】
クラスごと / 1コマずつ
【実施場所】
音楽室、多目的室
【推奨学年】
小5、小6、中学、高校
協力予定団体:清元協会、公益社団法人日本小唄連盟 -
⑧和楽器いろいろ色彩感あふれる和の響きを体感!
日本はいろいろな和楽器の宝庫。
大陸から伝来した箏や三味線、なかにはシルクロード起源の琵琶もあります。
太鼓や小鼓などの打楽器から、尺八や笛などの管楽器も多種多彩。
現代ではジャンルを超えて、複数の楽器によるアンサンブルも大人気です。【体験内容】
尺八、琵琶、津軽三味線、箏、小鼓などの技法や音楽を鑑賞し、語りやボディパーカッションなどを体験します。
【基本実施形態】
クラスごと / 1コマずつ
【実施場所】
音楽室、多目的室
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学、高校
協力予定団体:公益社団法人日本三曲協会、特定非営利活動法人日本音楽集団 -
⑨落語(演芸)学校に高座がやってくる!
一人の演者が何役も演じ分け、最後に必ず「オチ」がつくのが特徴の落語。身振り手振りと扇子や手ぬぐいなどの小道具のみで展開する物語から、江戸っ子の暮らしを垣間見ることができます。
【体験内容】
落語家による実演の鑑賞と、小噺や落語特有の表現を体験します。
【基本実施形態】
学年一斉 / 2コマ
【実施場所】
多目的室、体育館
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:一般社団法人落語協会、公益社団法人落語芸術協会 -
⑩紙切り(演芸)誰でも素敵なアーティストになれる!
江戸時代に始まったとされる紙切りは、音曲に合わせて何も描いていない紙をハサミで様々な形に切り抜く芸能です。難しい題材のリクエストでも「とんち」を利かせて形にします。
【体験内容】
どこにでもある紙とはさみ、センスとアイディアを使って、無限に広がる可能性を切り出します。
【基本実施形態】
クラスごと / 1コマずつ
【実施場所】
教室
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:一般社団法人落語協会、公益社団法人落語芸術協会 -
⑪和妻(演芸)和妻の術を伝授してもらい、みんな手品師に!
あっと驚く手品はいつの時代も、見る人の心をつかむもの。お手玉や扇子、漆のお椀など、日本人に身近なものを使った伝統的な手品「和妻」を間近で見て、体験し、歴史を学びます。
【体験内容】
簡単な術を伝授してもらい、実際にやってみることで、先人たちの知恵と工夫を知ることができます。
【基本実施形態】
学年一斉 / 1コマ
【実施場所】
多目的室、体育館
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:公益社団法人落語芸術協会 -
⑫糸あやつり(地域の芸能)東京に根付く芸能を体験してみよう!
江戸時代には、人形をつかった芸能が人気を集め、各地で興行が盛んになりました。江戸糸あやつり人形では、人形の各所につけられた糸(通常約20本)を、手板という操作盤で操ります。 ※昭和31(1956)年に東京都無形文化財に指定
平成8(1996)年に国記録選択無形民俗文化財【体験内容】
講師(プロの実演家)による解説と実演鑑賞、実際に人形に触れて動かす体験をします。
【基本実施形態】
学年一斉 / 2コマ
【実施場所】
多目的室、体育館
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:公益財団法人江戸糸あやつり人形結城座 -
⑬八王子車人形(地域の芸能)躍動感ある人形の動き、その仕組みに注目!
江戸で独自に考案された、文楽系の三人遣いを一人遣いに改良したもの。 「ろくろ車」と呼ばれる車輪の入った箱に腰掛けて、人形を操ります。 ※昭和37(1962)年に東京都無形文化財に指定
令和4(2022)年に国の重要無形民俗文化財に指定【体験内容】
講師(プロの実演家)による解説と実演鑑賞、実際に人形に触れて動かす体験(代表者数名)をします。
【基本実施形態】
学年一斉 / 2コマ
【実施場所】
多目的室、体育館
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:八王子車人形西川古柳座 -
⑭江戸木版画(伝統工芸)浮世絵木版画の多色摺り技術を体験!
江戸時代に大流行した浮世絵木版画。庶民が気軽に楽しめるオールカラーの印刷物として、多色摺り木版画の技術と文化が確立され、受け継がれています。
【体験内容】
東京都指定の伝統工芸について、伝統工芸士による解説の後、実際に制作を体験します。
【基本実施形態】
学年一斉 / 2コマ
【実施場所】
多目的室、図工室
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:株式会社高橋工房 -
⑮江戸表具(伝統工芸)江戸時代から伝わる職人技に触れる!
掛軸、屏風、襖などの表具は、「水と刷毛の芸術」とも言われます。その技術は中国から仏教とともに日本に伝わり、生活様式や建築様式の変化ともに、日本独特のものとなりました。
【体験内容】
東京都指定の伝統工芸について、伝統工芸士による解説の後、実際に制作を体験します。
【基本実施形態】
クラスごと / 2コマずつ
【実施場所】
多目的室、図工室
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:石井三太夫表具店 -
⑯東京手描友禅(伝統工芸)粋な手描友禅の色付けに挑戦!
江戸時代に京都で創始された友禅染。参勤交代制度や呉服店の開設を機に多くの職人が江戸に移り住み、後に東京の地場産業として発展しました。
【体験内容】
東京都指定の伝統工芸について、伝統工芸士による解説の後、実際に制作を体験します。
【基本実施形態】
クラスごと / 2コマずつ
【実施場所】
教室
【推奨学年】
小4、小5、小6、中学
協力予定団体:東京都工芸染色協同組合