課題から提言につなげる
沖縄の芸術文化の未来を育む専門人材の育成
組踊(くみおどり)、琉球舞踊、三線、エイサーなど、沖縄は独自に育まれた豊かな芸能があふれる地域。そうした沖縄特有の文化芸術・芸能の魅力を沖縄県内外へ発信するために、文化芸術活動を運営面から支えるアートマネジメント人材の育成を目的に実施した事業です。
特に沖縄は、地理的な要因から県外へ出ることも、県外から訪問することも容易ではありません。そのため、文化芸術・芸能に関する情報収集や人的交流の機会が十分ではない状況がありました。
そこで、県内外の劇場や芸術団体において数か月にわたり共に事業を行う「研修派遣」制度を設け、人的交流と実践、情報収集を通した個人の学びの機会に対する公的支援を実現するという、他に類を見ない画期的な取組となりました。
アーツマネジメント講座
実演芸術を取り巻く環境や文化政策などを体系的に学ぶ座学や、企画・広報・海外発信などの現場の話、会計や著作権など実務の話など、年度ごとに趣向を凝らして企画しました。音響・照明などの舞台技術や、視覚・聴覚障害を持つ観客への劇場の対応などの実践講座も。
アーツマネジメント研修派遣
募集、書類選考、面接選考を経て対象者を内定。内定後は、本人の希望や将来的な展望をもとに、芸団協が研修先のマッチング・交渉を行いました。研修期間中は、研修者への研修給付金を支給するほか、慣れない環境での困りごと等へのサポートを行いました。研修終了後は研修報告会を実施し、研修を終えた方々の県内外へのアピールと、学びの共有を図りました。研修期間中は月次報告を必須とし、研修を通して得られる知見の収集・把握に努めました。
アーツマネジメント講座
2013年度は試行講座を8講座。2014年度は11講座、2015年度は11講座、2016年度は16講座、2017年度は13講座。受講人数は、5年間で延べ2329人となりました。
アーツマネジメント研修派遣
2014年度に8名、2015年度に2名、2016年度に2名、2017年度に2名の研修派遣を実施。約2か月から最大12か月の実務研修を実現しました。
この他、県内の芸能関係者らによるシンポジウムや、県内の劇場・ホール関係者との会合を実施し、今後の沖縄文化の展望や求められる専門性・人材像についての意見交換などを行いました。
研修で得られた人的ネットワークは財産。研修者同士でも交流を深めたい(研修者)
観光業界と実演芸術業界の相互理解と歩み寄りがますます重要だ(研修者)
研修期間が長期になるほど同じレベルで話ができるようになる。そうした人材が沖縄にもいると思うと今後の事業展開にも期待が持てる(研修受け入れ先)
研修後に研修先との共同企画を実現するなど、研修者を通してホールとしても新たなネットワークが形成されつつある(研修者の所属先)