背景

国内外のプロデューサー、アートマネジメント人材、舞台スタッフ、実演家等を対象に、人的交流の促進を通じて、芸術文化を支えるグローバル人材の育成と、芸術文化の国内外への発信力の強化に資することを目的として、平成27(2015)年度から令和2(2020)年度にわたり実施した事業です。
実演芸術を創造し、あらゆる人々が享受できる環境を整備するとともに、国際的な発信、交流を推進するためには、実演芸術に携わる専門人材が不可欠です。芸術団体、劇場・音楽堂等、ならびにその担い手が連携し、実演芸術に携わる専門人材を育成する仕組みづくりが必要でした。各ジャンル、各地域に蓄積されてきた情報や人的ネットワークを横断的に共有することで、実演芸術分野全体を捉える視野を広げるとともに、中核的存在となる専門人材を各地に創出しうると考えたのです。
また、国内にも素晴らしい芸術団体や劇場・音楽堂等が多数存在するにも関わらず、個人の学びに対する支援は十分ではありませんでした。そこで、国(文化庁)の制度として、国内で行う実務研修への公的支援の仕組みをつくりだしました。

概要

主催・共催
文化庁、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
対象
実演芸術に携わる方
期間・場所
2015年度~2020年度
活動概要
国内での実務研修を行う「国内専門家フェローシップ制度」、実務者同士の交流を促す「実演芸術連携フォーラム」、国外からゲストを招いて議論する「実演芸術国際シンポジウム」の3つの取組を通して、専門人材の育成と増強、専門家同士の交流を通した発信基盤とネットワークの形成をねらいました。
協力・後援
協力:公益社団法人全国公立文化施設協会
   劇場、音楽堂等連絡協議会
   公共劇場舞台技術者連絡会

詳細

国内専門家フェローシップ制度
短期間の研修では習得しがたい経験、知識、技術、人脈が得られるよう、実演芸術に携わる実務者を対象とした、中長期にわたる国内での実務研修の仕組みを作り出しました。
募集、書類選考、面接選考を経て対象者を内定。内定後は、本人の希望や将来的な展望をもとに芸団協が研修先のマッチング・交渉を行いました。研修期間中は、研修者への研修給付金を支給するほか、慣れない環境での困りごと等へのサポートを行いました。研修終了後は研修報告会を企画・実施し、研修成果の共有を図りました。

 

実演芸術連携フォーラム
ジャンルや職域を超えて、実演芸術分野に様々な形で携わる人々の横断的なネットワークの構築を目指して、実演芸術を取り巻く環境や、取組の事例、課題などを共有し、意見交換を行う場を設けました。

 

実演芸術国際シンポジウム
国外の事例を共有し、日本での新たな事業展開を考える機会を設けました(2015~2019年度)。

 

専門人材向けセミナー
2020年度はコロナ禍を受けて、国際シンポジウムに代わり、より具体的な議論につなげるべくセミナーを実施。

実施結果・成果

国内専門家フェローシップ制度
2015年度は5名、2016年度は6名、2017年度は8名、2018年度は4名、2019年度は7名が各地での研修を実施。1か月から最大6か月の実務研修を実現しました。
※2020年度はコロナ禍を受けて実施なし

 

実演芸術連携フォーラム
国内専門家フェローシップ制度の研修報告も兼ねつつ、回ごとに時事的テーマを設定して、専門家同士のディスカッションを行いました。おもに東京での実施でしたが、2018・2019年度は東京と関西でそれぞれ開催。関西会場では地域の課題がより鮮明になる場面がありました。

 

実演芸術国際シンポジウム
国を越えたネットワーク構築や、日本文化の国外での展開、国外の音楽フェスティバルの事例など、回ごとにテーマを設定してゲストを招へいしました。

 

専門人材向けセミナー
2020年度に対面実施が難しい状況を受けて、初めてのオンライン実施を試みました。コロナ禍での状況を共有する場となり、オンラインながら積極的な質疑応答も行われました。

関わった方々の声

研修を経て自分のフットワークが軽くなったと感じる。他団体でのやり方を知れたことで、判断が早くなった(研修者)

公共劇場の考え方を知れたことで、芸術団体としてどんな提案ができるか考えたいと思った(研修者)

情報交換をする中で、全く異なる環境にある会館の状況を教えてもらうこともあり、自分たちにとっても実りある体験になった(研修受け入れ先)

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