課題から提言につなげる
「芸術家のための互助の仕組み」をつくろう
俳優、歌手、舞踊家などの実演家や、イラストレーター、作家、音楽家などの芸術家、撮影、照明、音響などのスタッフの多くは、会社等に雇用されていないため、さまざまなところから仕事を受けたり、自主企画・制作をしたりして活動しています。そのため仕事は不定期で、不安定です。その上、万が一の時の支えとなるべきセーフティネットが不十分であることが、コロナ禍を機にあらためて明るみになりました。
仕事が不安定で、収入も低くなりがちな芸術家やスタッフが、安心して安全に働き続けることができるよう、日本での仕組みづくりが必要だと考え、芸団協では2022年度から研究を続けています。
諸外国の仕組みの調査をふまえて「芸術家のための互助の仕組み」づくりを提案し、この仕組みをより良い形で実現するために、調査研究などの取組を続けています。
まずは、当事者である実演家・芸術家、音響・照明などのスタッフの皆さんに、現行の社会保障制度の仕組みや、活用できる制度について知ってもらえるよう、特設ウェブページを通して情報発信を行っています。
2022年度:ドイツ、フランス、韓国における芸術家のための社会保障制度の調査、報告書の発行
2023年度:日本の実情に合わせた芸術家のためのセーフティネットの在り方について検討、「芸術家のための互助の仕組みに関する中間提言」まとめ
2024年度:研究に関する特設ウェブページの開設、アメリカにおける芸術家のための社会保障・互助制度の調査、芸術家のための互助の仕組みの具体化に向けた業界団体等との協議など
ダンサーはアスリートと同様、現役で活躍できる期間が限られています。毎日が怪我と隣り合わせで、いつダンサー生命を絶たれるかわかりませんが、日本ではほとんど補償がないのが実情です(バレエ団芸術監督)
声を酷使するため喉の手術が必要になる人もいますが、その間の補償はありません。「芸術家のための互助の仕組み」で、将来への不安が少しでも払拭されるなら、こんなに心強いことはありません(声優・ナレーター、作家)
芸術家、スタッフが、誇りをもって心おきなく安心・安全に続けられる職業として当たり前になる未来のために。「芸術家のための互助の仕組み」の実現に向けて、実演家・芸術家、スタッフ、業界関係団体の方々への理解促進と協力を得るための働きかけをしていきます。